苦情対応

 

対応がお客様の期待レベルに達していない場合、お客様は不安を感じる。不安を感じたお客様のうち、 苦情を表明する方は一部であり、背後には同様の苦情・不満(潜在化コンプレックス)を持った顧客が多 くいると考えてよい。  
 
  1. 苦情原因の多くは
       ○商品知識や業務知識が不十分である
       ○適切なお客様対応やCSに対する理解が不足している
       ○従業員への教育が不十分である

  2. 主な苦情として
       ○契約内容の説明が不十分(契約内容がお客様の希望と異なる等)
       ○説明対応が不十分(連絡遅延、説明不足等)
       ○事務手続きの遅延、失念等

  3. 苦情はあなたに大きなデメリットを発生させる
       ○契約解除、取消し、次回の不継続
       ○お客様の信用失墜、世間の評判低下
       ○事務業務の増加、時間のロス
       ○損害賠償発生による賠償金の支払い
  4. 苦情の最小化を図るためには適正な業務遂行が欠かせない
       ○苦情の記録(「お客様の声「苦情受付名簿」の備付け」)、自社内での共有化
       ○苦情発生の原因分析(発生させた人の追及であってはならない)
       ○苦情の再発防止策の策定と実行

  不満を感じるお客様の多くは、苦情言わずに他社へ契約を切り替えてしまっているのではないか。事故が発生した場合、誠意をもって解決に当ることはもちろんだが、その苦情が発生した原因を分析し、再発防止を図る必要がある。   
苦情の根本原因が何かを見つけて取り除くことにより、同様の苦情を未然に防止することは、あなたの業務を遂行する上で重要な課題。
 
 
  苦情対応の基本は、「迅速で確かな対応」と「誠意のある対応」が最重要である。具体的には次の点に留意して迅速かつ誠意をもって対応する。  
 
   イ、相手が誰であれ、丁寧な言葉づかいを忘れずに。
 ロ、相手から問われなくとも、自ら名乗ること。
 ハ、相手を確認すること。(氏名・住所・電話番号などの連絡先)
 ニ、相手に極力話をさせ、聞き取ること。
 ホ、相手の主張の内容をよく確認すること。(5W1H)
 ヘ、余計なことは言わない。
 ト、誤解を招く言葉や、様々な意味にとられかねない言葉は使わない。
 チ、できるだけ平易な言葉をつかうように心がけ、専門用語や仲間内の言葉は使わない。
 
     
  苦情は「発生したこと」よりも「いかに対処したか」が問題であり、「誰が起こしたか」というよりも「何故起こったか」の原因を究明して再発防止を務めるとともに、「適切に対応できたか」が重要になる。  
     
     
苦情は処理は初動が重要なので、苦情を受けた電話担当者は、相手の怒りを静めながら、正確に状況を把握することが大切。
苦情の電話を受けたら、まずは誠意をもって謝罪する。 時には、相手の発言が紳士的でないこともありますが、そのような時でも感情的にならず、誠意を持って謝罪する。

こちらがどんな気持ちで謝罪しているのかは、不思議と相手に伝わるもの。マニュアルを棒読みしたような感情のこもっていない謝罪は、相手に不快感を与えることもあるので注意が必要。
相手の話が長引いても途中で相手の話をさえぎらない、人は誰かに話すことでストレスを発散するので、長く話せばそれだけ怒りも静まってくる。また、最後まで聞かなければ、相手が何に対して不満をもっているのかが分からない。


相手の話を聞き終えた後、今度は電話担当者のほうから質問をする。これは正確に状況を把握するための質問なので、事実関係を聞き出してメモにまとめる。
その際、電話担当者は感情のある人間なので、相手に嫌悪感を抱いたり、逆に強く共感することもある。しかし、電話応対者はそうした感情から私見を述べてはならない。
例えば、電話応対者が相手に共感し「全くその通りです。私見ですが、弊社の姿勢に問題があると思います」などと発言してしまったら大きな問題。電話応対者はあくまで私見を述べたつもりでも、相手は企業の総意として認識する。また、相手が悪質な場合、電話担当者の私見がインターネットなどを通じて世間に公開されるなど、企業イメージを損ないかねない。 
 
   
   事前準備と最低限のマナー
  ○電話応対の基本は、相手に不快感を与えないこと  
    苦情処理の電話応対で求められる基本マナー
  ・社名と氏名を名乗ること
  ・常にハキハキと話す
  ・「はっ?」「えっ?」といった聞き返し方はしないこと 等
つまり、相手に不愉快を与えるような電話応対はしてはならない。
 
       
  ○聞き取りにくい携帯電話からの苦情対応  
    電波の状態によっては、声が小さく内容が聞き取りにくいことがある。
しかし、電話担当者のほうから「別の電話でかけ直してください」とはいえない。
また、相手が出先であれば担当者から別の電話に折り返し連絡することもできない。
こうした場合、多くの電話担当者は自分の話を確実に伝えるために大きな声で話す。
これはこれで、正しい対応だが、逆の考えもある。
具体的には、電話担当者が故意に声を小さくして、相手方にも話が聞き取りにくい状況を体感してもらう。
相手が携帯電話の電波が良好でないことを知り、別の電話からかけ直してくれれば成功。
ポイントは、相手が主体的に別の電話でかけ直す行動に出るように誘導すること。
 
       
  ○電話だからといって、油断はできない  
    電話担当者が電話口で「お茶を飲む」等の行動をしてしまうことがある。
電話では相手の表情や仕草を目で確認できない。

しかし、相手は、普段とは異なる息遣いから察していることが少なくない。
これは大変失礼なことなので、注意しなければならない。
 
     
     
   処理案を提示する 
  正確に状況を把握した後は、相手に具体的な苦情処理案を提示する。初回の電話で処理案を提示することはスピーディーな苦情処理として好ましい。ただし、苦情はすぐに処理できる簡単なものばかりではない。また、電話担当者によって対応が異なることも問題。そのため、電話担当者の裁量で処理案を提示できる苦情は、あらかじめマニュアルで定めておき、それ以外のものについては必ず電話を切った後に、改めて処理案を提示する。難しい苦情を処理するために必要な時間をかけることは相手に対して失礼ではない。また、一度電話を切る際のポイントは以下の3つ。  
 
  1. 相手にとって最善の対策を検討するために時間をもらう
  2. 次に電話をする明確な時期を伝える
  3. 必ず、こちらか連絡する旨を伝える
 
  具体的には、 「かしこまりました。お客様のお話は◇◇の件ですね。本件につきましては、最善の対応を検討し、○○日までに弊社のほうからご連絡させていただきます」などと伝える。
相手から「苦情処理の担当者なのに、そんなことも判断できないのか。私が話をした意味がないじゃないか」といわれるかもしれないが、それでも必ず電話を切る。
 
     
    処理案を実行すること  
  相手に提示した処理案を確実に実行し、1分でも遅れないようにする。
苦情の内容にもよるものの、処理案が実行されるころには、「処理案を確実に実行してくれるのであれば、今回のことは大目に見よう」と考える人も少なくない。
ここでさらにミスをしてしまうと事態は相当悪化する。
度重なる失態には次が無い!!
 
     
     社内体制の再チェック  
  苦情は、社内体制に何らかの問題があることをあなたに教えてくれる。各段階での担当者および責任者、業務の流れについてもう一度チェックし直し、問題があれば早急に改善する。